数字の 「9」 にまつわる英語表現 英語の nine が持つ意味は?
9は不吉な数字?
日本で不吉な数字といえば、「4」と「9」。4は「死」、9は「苦」という発音からの連想で、4のほうは中国でも同じようです。
国によって数字が意味するものはさまざまで、同じ日本の中でも「馬九行久(うまくいく)」という言葉があります。これは語呂合わせで「九頭の馬が行く」。こちらの「九」は縁起の良い意味で使われてます。
エンジェルナンバーや数秘術などでも「9」が象徴するものがそれぞれあるので、気になった方は調べてみて下さい。検索するとたくさん出てきますよ。
iPhoneやWindowsに9がない
デジタルの世界で、iPhone8の後続がiPhone9ではなくiPhoneX(10)だったり、Windows8の次が、Windows9ではなくWindows10だったりしたのは、イメージ一新のためとか言われてます。
ただ、どちらも9だったので、9にまつわるオカルトのようなスピリチュアル的な噂もいろいろ囁かれました。実際、英語圏では「9」はあまり縁起の良い数字ではないようです。
ナインスゲート
1999年の映画『ナインスゲート』(The Ninth Gate)はというタイトルは、直訳だと「9番目の扉」。伝説の悪魔祈祷書『影の王国への九つの扉』(The Nine Gates of the Kindgom of the Shadows)から来てます。
もっとも『影の王国への九つの扉』は、クトゥルフ神話の『ネクロノミコン』と同様、架空の書物です。
悪魔の数字と言うと、映画『オーメン』の影響で「666」がパッと浮かぶけれど、「9」をさかさまにしたら「6」になることだし…。
9が付く英語
9(nine)が付く英語フレーズはわりといろいろあります。といっても、特に忌避する数字というわけでもなさそうです。むしろ、ラッキーを表すことも。
have nine lives(9つの命がある)
have nine lives は「死にそうな目に遭っても、幸運にも生き残る」「危険な状況から幸運にも逃れる」の意味。「A cat has nine lives」(猫には9つの命がある)という一般的なことわざから来ています。
「9つある命」は悪魔的なニュアンスではなく「危機を回避する幸運」を示してます。
- I can't believe he survived after his bungee cord snapped! He must have nine lives or something.
(バンジーコードが切れた後も生き延びたなんて信じられない! 彼は9つの命があるんだろう) - He has shown he is a political cat with far more than nine lives.
(彼は9つの命よりもはるかに多くの命を持つ政治家であることを示した) - After all, life's short here even if you have nine lives.
(結局のところ、9つの命があっても人生は短い)
A cat has nine lives の由来
猫は、約1万年前の新石器時代に近東で人間と共存し始めたとか。人間の古い友達ですね。人間が農耕して食料を貯蔵すると、ネズミなどが狙ってきます。それを猫が阻止してくれたわけです。
そんな経緯から、古代エジプト人は猫を崇拝しました。太陽神アトゥム・ラーは、冥界に行くために猫の姿をとったと言われています。
アトゥム・ラーは8人の神を生んだとされ、8人の神とアトゥム・ラーを合わせて9つの命。その結果、猫が9つの命を持つという言い伝えになったと考える人もいます。
なぜ9なのか?
古代ギリシャ人にとって、9は魔法の数字を表し、神々と結び付いていたそう。ヒンズー教では、9は完全で神聖な数字とみなされ、中国では、9は力の象徴である龍と関連づけられています。
また聖書では、9はなんと49回使われていて、完了を意味しているとのこと。キリストは、1日の9時に亡くなりました。9は特別な意味を持っていたのかもしれません。
起源不明の古い英語のことわざいわく、
A cat has nine lives. For three he plays, for three he strays, and for the last three he stays.
「猫には9つの命がある。3回は遊び、3回はさまよい、最後の3回は留まる」
ただ、他の国や文化では、ネコの命の数は異なります。
アラブ諸国では、ネコの命は6つ、スペインやその他のスペイン語圏の国では、ネコの命は7つあると言われています。7は「ラッキー7」なので、さもありなん。
a stitch in time(早めの対策)
A stitch in time saves nine.
「遅れずに1針縫えば、9針の手間が省ける」
a stitch in time (saves nine) は、「今すぐに問題を解決しておけば、問題が大きくなるのを止められる」という意味のことわざです。
ここでも、9が使われてますね。time と nine のスペルが似ているのも意図したものかもしれません。
布の小さな破れや穴は、すぐに縫い合わせることで、穴が大きくなった時に縫うよりも手間や糸が節約できます。早いうちに1針縫えば、9針節約できるという主旨。
英国のロックダウンの時に、ボリス・ジョンソン首相がスピーチでこのフレーズを述べた際、"a stitch in time saves nine" のネット検索数が一気に跳ね上がったとか。
このことわざは、面倒だからといって物事を後回しにしがちな人に向けたものです。「早めに対処したほうがいい」と背中を押す、いわばインセンティブになっている言葉。
なんと "a stitch in time saves nine" は、奇しくも "this is meant as incentive"(これはインセンティブ用だ)のアナグラムになってます。すごい!
- I already started preparing for the big dinner party. A stitch in time.
(すでに大きなディナーパーティーの準備を始めています。早めの対策がいい) - We'd better fix that leak before it does any permanent damage. A stitch in time.
(永久的な損傷を引き起こす前に漏れを修理すべきだ。早めの対策を) - You should consider getting your car repaired now ― a stitch in time saves nine.
(今車を修理することを検討すべきだ。早めの処置で手間が省ける)
まとめ
英語の nine が付いたイディオムはまだ他にもありますが、とりあえず今回は2つのことわざに絞りました。「10の一歩手前」ということで「ほとんどすべて」のようなニュアンスで使われたりもしますね。
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(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE, Newsweek, Collins Dictionaries, Phrase Finder)