ten to one は 「1時10分前」 じゃない? 時刻を言う以外の to の用法
時間の答え方
時間を聞かれた時、たとえば「4時50分」だとすれば、どう答えますか?
- It's four fifty.
(4時50分です)
こんなふうに、「何時何分」ときちんというのが基本の答え方ですね。
〇時の〇分前
他に、to を使って「〇時の〇分前」なんて言い方もあります。
- It's ten to five.
(5時の10分前です)
この表現は、ニュージーランドでよく耳にしました。to は before の意味で、「5時まで10分」、つまりは「4時50分」のこと。耳で聞いた時は「10時5分??」とパニくってしまいました。
特に10分前に限らず、5分前でも15分前でも構いません。
- It's five to five.
(5時の5分前です)=4時55分 - It's quarter to five.
(5時の15分前です)=4時45分
〇時の〇分過ぎ
to と対になる「〇時の〇分過ぎ」なら、past です。past は after の意味。
- It's five past five.
(5時5分過ぎです)=5時5分 - It's ten past five.
(5時10分過ぎです)=5時10分 - It's quarter past five.
(5時15分過ぎです)=5時15分
もっとも、「〇分過ぎ」と言う場合、「5時10分」なら five ten(5時10分)でも意味は同じです。こちらのほうが短いので、わざわざ past を付けた言い方をしなくてもいいんじゃないかと…。
quarter と half
quarter は「4分の1」のことなので、時間の場合なら「15分」。「5時15分」という時は、five fifteen でもいいけれど、quarter のほうがよく使われます。「30分」なら、half。
「30分」はちょうど1時間の半分で to か past か微妙なところですが、言うとしたら、half to five(5時30分前)ではなく、half past five(5時30分)でしょう。
- It's quarter past five.
(5時15分過ぎです)=5時15分 - It's half past five.
(5時30分過ぎです)=5時30分
ten to one とは?
時間の言い方で考えるなら、ten to one は「1時10分前」です。
- It's ten to one.
(1時の10分前です)=12時50分
ところが、ten to one というイディオムがあり、これは「十中八九」という高い可能性を表す意味になります。
- Ten to one he won't be there tonight.
(十中八九、今夜彼はそこにいないだろう) - Ten to one he'll be late.
(十中八九、彼は遅れるだろう) - Ten to one they'll never find out who did it anyway.
(いずれにせよ誰がやったかは十中八九分からないだろう) - I'll bet you ten to one he'll forget all about it.
(十中八九、彼はそれをすべて忘れるだろう)
こんなふうに副詞句として使われるだけかと思ったら、it's で言うこともあるらしく…。時刻を言う時と同じ形なので、うっかりすると間違えてしまうかも?
- It's ten to one that it will rain tomorrow.
(十中八九、明日は雨が降るだろう) - It's ten to one that he'll be late.
(十中八九、彼は遅れるだろう)
to の用法
イディオムの ten to one の to は、どんな意味なんでしょう?
時刻を言う時の to は「~の前に」という before の意味でしたね。他に、まぎらわしい用法が2つあります。「比率・比較」を表す場合と「範囲」を表す場合です。
- 数詞を伴う to の用法:
- 「時間」 ten to one(1時10分前)など
- 「比率・比較」 ten to one(十中八九)など
- 「範囲」 one to ten(1から10まで)など
「比率・比較」を表す場合
「十中八九」の ten to one は「10対1」「1と比べて10」のことで、「可能性」が10、「可能性がない」は1、という比率を示します。イディオムではないけれど、10と1に限らず、他の数字でも応用可。
「〇対〇」と言う時は、よく by で表しますね。
- Paul beat me by three games to two.
(ポールは3対2で私に勝った) - We won by six goals to three.
(私たちは6対3で勝った) - He was old enough to be her father ― she looked about 30 to his 60.
(彼は彼女の父親くらいの年齢だった。彼女は30歳くらいに見えたが、彼は60歳だった)
「範囲」を表す場合
between A and B の意味で、「何らかの低い数値Aから高い数値Bまでの範囲」を言うのにも使われます。「小さい数字」to「大きい数字」のように、たいてい小さい数字が先に来ます。
- I'd say he was 25 to 30 years old.
(彼は25歳から30歳くらいだったと思う) - There were probably 30 to 35 people there.
(そこにはおそらく30人から35人の人がいた) - It'll probably cost you 40 to 45 pounds.
(おそらく40から45ポンドかかるだろう)
まとめ
「何時何分」という to の使い方はよく聞くけれど、それ以外にもまぎらわしい to の用法があるのでご注意ください。といっても、間違えることはほとんどないかもですね。
ゆるりと英字新聞
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英語学習者向けに作られているので、読みやすく、初めて英字新聞を読む方にも敷居が低め。リアルタイムのニュースを英語で読むと、「これはこんな英語になるんだ」と新しい発見があって面白いですよ。
Japan Times Alpha(ジャパンタイムズアルファ)
発行日: 週刊(土曜日)
(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE)