humbug と humbugger の意味 ハンバーグとハンバーガーではなく
ハンバーグとハンバーガー
ハンバーグとハンバーガーではありません。ハンバグとハンバガー。
…なのですが、最初に少し「ハンバーグ」と「ハンバーガー」についても触れておきたいと思います。
hamburger の由来
「ハンバーガー」は英語でも hamburger [hǽmbə̀ːrgər]。ただし、アクセントの位置が日本語と違って、最初の ha の音にあります。口語で burger と言ったり、イギリス英語では beefburger とも言ったり。
語としては、ドイツの都市 Hamburg(ハンブルク)に由来しているものの、特にハンブルグとの間に直接の関係はなく、起源ははっきりしません。
いくつか説があり、ひとつには、ハンバーグ・ステーキをローストしてその下にパンを乗せたものがハンブルグで人気があり、アメリカへ向かう移民がそれを食べていた、というもの。
他に、ハンブルグ・アメリカ・ラインの船で、ハンブルグからニューヨークへ向かうユダヤ人の乗客が2枚のパンの間に挟んで食べたハンバーグ・ステーキが有名になり、船会社がその料理にその名前をつけた、という説もあります。
当初は hamburger steak sandwiches(ハンバーガー・ステーキ・サンドイッチ)と呼ばれ、それが hamburger steak(ハンバーガー・ステーキ)になり、1930年までには hamburger(ハンバーガー)に置き換わったそう。
一方、「ハンバーグ」のほうは、英語では、hamburg steak や salisbury steak(ソールズベリー・ステーキ)。ハンバーグ・ステーキは、17世紀からドイツで「フリカデッレ」として知られています。
salisbury steak という名称は、ジェームズ・ソールズベリー博士によって考案され、1897年以来アメリカで使用されているとか。
ハンバグとハンバガー
では、ハンバグとハンバガーについて。
humbug は [hʌ́mbʌ̀g] という発音で、「いんちき、たわごと」「ペテン師」。「人」を言う場合は、数えられる名詞です。動詞では「(人を)だます」。
古めかしい語なので、今ではあまり使われないかも。
名詞の humbug
- I know humbug when I see it.
(見ればインチキだと分かる) - Her arguments are impeccable and she has absolutely no tolerance for humbug.
(彼女の議論は完璧で偽りを絶対に許さない) - You're all a bunch of humbugs, the lot of you!
(あなたたちは全員インチキ野郎の集まりだ)
『オズの魔法使い』でも、"I am a humbug."(私はペテン師だ)と言ってますね。(0:06 あたり)
またイギリスには、 humbug(フンバグ)という伝統的なキャンディーもあり。たいていペパーミント味で、2色のストライプ模様になってます。
動詞の humbug
- First he humbugs them, and then they pay to hear him tell how he did it!
(最初彼は彼らをだまし、その後彼らはどうやったか聞くためにお金を払う) - They believe we are being humbugged by journalists.
(彼らは我々がジャーナリストにだまされていると信じている)
チャールズ・ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』では、スクルージの台詞で "Bah! Humbug!"(ふん、ばかばかしい)という有名な表現がありました。
これは、「ばかばかしい」「くだらない」という間投詞の用法です。
Prime Videoで『Disney's クリスマス・キャロル』(吹替版)を見る
humbugger とは?
humbug は「人」の意味もあるのに、わざわざ「人」を表す -er が付いた humbugger(ペテン師)という語があるのが不思議です。
もっとも、humbug 自体それほど使われない言葉であり、humbugger はもう風前の灯というか消えかけているらしく、Wiktionaryに載っていた程度。
ハンバガリ
さらに、humbuggery も humbug と同じく、「インチキ」「ごまかし」を意味します。humbug の最後に g を重ねて -ery が付いたもの。ただし、この語もオールドファッションです。
- Years of his humbuggery made the public unwilling to believe anything he said.
(彼が何年にもわたってごまかしを続けたため、国民は彼の言うことを何も信じなくなった)
まとめ
私は、humbug という語をテレビシリーズ『X-ファイル』で知りました。第2シーズンの第20話のサブタイトルになってます。洋画は語句の宝庫。
ゆるりと観る洋画
ストーリー的にゆるりと観れるかどうかは謎ですが、当時から大好きなテレビシリーズです。UFOなど、その他不思議世界が好きな方にはぜひ観て欲しい作品。
見どころはいろいろあるけれど、何より主人公2人がお互いを名字で呼び合うって、洋画にしては珍しいんじゃないかと。
(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, Wikipedia)