hippopotamus(カバ)のアクセントはどこにある?
hippopotamus という単語
「運の悪いヒポポタマス」
かつて、ガチャピンやムックの出身番組、『ひらけ!ポンキッキ』という朝の幼児向け番組で、「運の悪いヒポポタマス」という歌がありました。
あまりにも歌詞が悲惨すぎて、トラウマになった子供がいたとかいなかったとか。この歌を朝から流した『ポンキッキ』の決断はすごかった…。
もともとは、マザーグースの詩のひとつ、Solomon Grundy『ソロモン・グランディ』から来ているようです。
『ソロモン・グランディ』も、人の一生を一週間にたとえて、「金曜日に病気が重くなり、土曜日に死んで、日曜日に埋められる」というシビアな内容。
hippopotamus のアクセント
この歌で hippopotamus が「カバ」だと覚えたんですが、アクセントの位置がなかなか厄介です。歌の中では、「ヒポポタマス」のように「ヒ」が強くなってますね。
カタカナ読みだと、一般的には「ヒポポタマス」と「タ」が強いでしょうか。
実際の英語の発音はというと、[hìpəpɑ́təməs]。アクセントの位置は、2つめの「ポ」です。もっとも、話し言葉ではたいてい hippo と省略されるので、その場合は最初の「ヒ」にアクセントが移ります。
hippopotamus
hippo
hippopotamus の複数形
複数形は2つあって、通常版は -es を付けた hippopotamuses [hìpəpɑ́təməsəz]。もうひとつは hippopotami [hɪpəˈpɑt̮əmaɪ]。発音記号は、あちこちの辞書から抜き出したため、形式がバラバラです(スミマセン)。
hippopotami は、カタカナだと「ヒポポタマイ」。アクセントの位置は変わりません。
hippopotami
hippopotamus という単語はラテン語に由来し、hippopotami はラテン語の複数形です。
英語としては、hippopotamuses になるのですが、科学的な文章ではラテン語の複数形が一般的に好まれ、 hippopotami のほうを使うそう。
省略形だと、複数形も簡単。-s を付けて hippos でOKです。
アクセントが難しい単語
refrigerator(冷蔵庫)
アクセントの位置が分かりづらいのは、refrigerator(冷蔵庫)などもそうですね。「リフリジレイタ」[rifrídʒərèitər] で、アクセントは refri の “ri” の音。これも、普通は fridge と短く省略します。
refrigerator
fridge
digitalis(ジギタリス)
「ジギ」か「ディジ」か?
かわいらしい外見に反して毒があるとされる植物の「ジギタリス」。スペルは digitalis で、まずここから大混乱です。「ジギ」がなぜ「ディジ」になる??
「ディ」が「ジ」になるのは、ともかくとして、問題は gi の発音です。
gi は「ジ」「ギ」どちらの発音もあります。たいてい単語によって定まっているので、迷うことはないけれど、かつて「ジフ・ギフ(ギフ・ジフ)論争」というものがありました。
画像の拡張子 gif を「ジフ」と読むか「ギフ」と読むか。英語圏でも意見が割れて長く続いた論争です。現在は、「ジフ」ということで落ち着いてます。
本来はカタカナ語で「ディジタリス」のはずではあっても、日本語で「ジギタリス」という名称が定着しているので、変更することなくそのままなのでしょう。
ちなみに、検索するとジギタリスの毒性について、いろいろ書かれてますが、実際試しに葉を食べてみたところ、何ともありませんでした。ただし、体質によるのかもなので、実験はお勧めしません。
digitalis のアクセント
また、日本語で「ジギタリス」は「タ」にアクセントを置くと思います。英語でも [dìdʒitǽlis] で ta を強く発音します。この点はビンゴ。
digitalis
garage(ガレージ)
garage の意味
garage は日本語で言う「ガレージ」の意味の他、「自動車修理工場」「ガソリンスタンド」の意味もあります。「ガレージに」は in the garage、「自動車修理工場」や「ガソリンスタンド」なら at the garage です。
- Don't forget to put the car in the garage.
(車をガレージに入れるのを忘れないで) - The car's still at the garage getting fixed.
(車はまだ自動車修理工場で修理中だ) - We ran out of petrol on the way home, but as luck would have it, we were very near a garage.
(家に帰る途中でガス欠になったが、幸運にもガソリンスタンドがすぐ近くにあった)
garage のアクセント
イギリス英語とアメリカ英語で、発音が若干違うのは頷けるとしても、なんと garage はアクセントの位置まで異なります。イギリス英語では [gǽrɑːʒ]、アメリカ英語では [gərɑ́ʒ]。
カタカナ読みすれば、英語は「ガラージ」、米語は「ガラージ」です。
garage【英】
garage【米】
まとめ
英語と日本語のアクセントの位置が違う単語は、結構ありますね。「マクドナルド」も、英語は「マク」の後の「ド」にアクセントだし。
外国の人は「カラオケ」と言う時、なぜか「オ」にアクセントを付けたり、「スシ」は日本語だと「シ」の方が強いのに、英語の発音だと「ス」にアクセントが来たり。なんとも不思議な感じです。
ゆるりと読む洋書
『クリスマスの思い出』は、『ティファニーで朝食を』のトルーマン・カポーティの短編小説です。
おばあさんと老犬と少年のクリスマスの情景で、とてもほんわかした気分になり、ラスト辺りでは涙がこぼれます。優しいイノセントな世界と残酷な現実。
私が読んだのは真夏だったけれど、クリスマス気分に浸れました。おすすめの一冊です。
(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, Grammarist)