warm はいつ hot に変わるのか? too warm という表現は文法的にOK?
muggy と warm と hot
日本の夏は湿度が高いため、muggy [mʌ́gi](蒸し暑い)です。辞書によれば、muggy は「warm、かつ湿気が多い状態」。warm どころじゃなく hot では、と叫びたいところだけど、それはそれとして。
muggy は天候や大気の状態にしか使えませんが、不快な「暑さ」を暗に示します。他方、warm は「暖かい・温かい」、hot も「暑い・熱い」のどちらも言えますね。
muggy の用法
- It had been raining for three weeks, and it was hot and muggy.
(3週間雨が降り続いて暑くて蒸し蒸ししていた) - Muggy weather is unpleasantly muggy and damp.
(蒸し暑い天気は不快に蒸して湿気が多い)
warm の用法
warm [wɔrm] は「特に暑くも寒くもなく、心地よくある程度高い温度」です。基本的には「心地よい高温」というのがポイント…なのですが、不快な場合もある?
また、気温や物が「暖かい・温かい」の他に、「(人が)暖かく感じる」時にも使われます。feel warm の意味ですね。
発音は「ウォーム」。worm [wərm](虫)の発音は「ワーム」で、つづりのアルファベットと発音が逆になっていて、紛らわしいのでご注意を。
- Tomorrow will be warm and sunny.
(明日は暖かく晴れるだろう) - The room seemed uncomfortably warm.(Oxford例文より)
(部屋は不快なほど暖かそうだった) - Wash the blouse in warm soapy water.
(ブラウスを温かい石鹸水で洗ってください) - Are you warm enough?
(十分暖かいですか?) - You'll be as warm as toast in that sleeping bag.
(寝袋に入ればトーストのように暖かくなる)
(as) warm as toast は「トーストのように暖かい」が転じて、「心地よく暖かい」こと。イギリスで生まれたイディオムで、1430年頃は as hot as toast という表現だったそう。
イギリスではトーストしたパンをラックに入れて急速に冷やす習慣があり、それと関係しているのかも。
温度以外の意味
「(人の心が)温かい」や「(色が)温かい」時など、比ゆ的な温かさを表したりもします。
変わったところでは、特にゲームで「正解に近い」の意味で用いられることもあり。ただし、この意味では、hot も同じように使われます。warm の時は warmer と比較級なのに、hot は なぜか hot のままです。
- Her smile was warm and friendly.
(彼女の笑顔は温かく優しかった) - The room was decorated in warm shades of red and orange.
(部屋は赤とオレンジの温かみのある色調で装飾されていた) - Keep guessing ― you're getting warmer / hot.
(推測を続けて。正解に近づいている)
hot の用法
hot は、「高温になる、あるいは熱を発する状態」を示します。飲み物や食べ物の場合は、hot coffee(ホットコーヒー)のように hot を使って、あまり warm は使わないかも。
食べ物・飲み物系を言う時の hot は、「熱い」より「温かい」ニュアンスでしょう。それ以外の場合は、「不快なほどの暑さ・熱さ」を表すことが多いです。
warm と同様、hot も「(人が)暑いと感じる」という用法もあります。
- Do you like this hot weather?
(この暑い天気は好きですか?) - I'm hot. It's 40℃ here.
(暑い。ここは40度だ) - I touched his forehead. It was burning hot.
(彼の額に触れると、燃えるように熱かった) - The food should stay hot until we're ready to eat.
(食べる準備ができるまで食べ物は温かいままでなければならない) - I'll feel better after a hot bath.
(温かいお風呂に入ると気分がよくなる)
「暑い・熱い」以外に、hot の意味はわんさかあるものの、ここでは割愛します。
warm と hot の境目は?
「通常より高い、あるいは望ましい状態より高い」場合が hot だとか。どのくらいから warm でなく hot になるのかは、感覚的なもので、はっきり定義できません。
ただ、温度の範囲の目安を示しているケースもありました。こちらによると、大体20~30℃が warm で、30℃以上が hot になるようです。大気の温度の体感としては、そんな感じでしょう。
too warm はあり得るか?
warm は「暖かい」、それ以上なら hot になるわけで、hot は上限がありません。too hot(暑すぎる)という言い方は普通にできます。
- Is anyone too hot?
(誰か暑すぎる人はいない?) - It's too hot in here, can we turn down the heating?
(ここは暑すぎるので暖房を弱めていい?)
では、too warm(暖かすぎる)はどうでしょう? warm の上の段階として hot があることだし、そもそも通常は warm は快適な温度を表すので、too が付くのはちょっとヘンな気もしますね。
結論から言ってしまうと、too warm という表現は「あり」です。「少し不快に暖かすぎる」というニュアンスで使えます。気持ち悪くなりそうな暖かさでしょうか。
なら、too warm hot かというと、そうでもなさそう。慣例的に、hot は too warm よりもさらに「暑い」様子をイメージします。too warm と hot は同じではなく、見えない境界があるようです。
warm から hot へ:
warm(暖かい) too warm(暖かすぎる) hot(暑い) too hot(暑すぎる)
まとめ
warm は、必ずしもいつも「快適に暖かい」とは限りません。too warm と hot は違うと言っても、実際 hot だと感じているのに、言葉を弱めて too warm と言う場合もあるかもですね。
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(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE, English Language Learners Stack Exchange, Quora, WordReference Forums)