「ham actor」と「大根役者」の由来は? ham actor の真実の意味
「大根」は daikon radish
大根は、ニュージーランドでも中国系のスーパーにはありました。英語では daikon radish。すでに「ダイコン」は英語になってます。
Japanese white radish と言ってもよいでしょう。radish は「ハツカダイコン」の英名で、通常赤と白の小さな根菜のこと。radish だけだと、正確に「大根」だと伝わりません。
ところで、演技の下手な役者のことを「大根役者」と呼ぶけれど、どうして「大根」なんでしょう? スミマセン、「大根役者」を検索しようとしたら、「大婚約者」と出て笑った。
「大根役者」の由来
なぜ大根役者と言うようになったのか、起源については諸説あり。Wikipediaにはもっと多くの説が載ってますが、ここでは3つだけにしておきます。
- 大根役者:
- 大根は食材として、めったに「食あたりしない」。これと、役者として「当たらない」を掛けた
- 大根をおろし金で「すり下ろす」ことと、役者が役を「おろされる」ことを掛けた
- 大根の「白い色」の「しろ」と、役者が「素人」である「しろ」を掛けた
ham が示すもの
一方、英語では「大げさな演技をする下手な俳優」を ham、または ham actor と称したりします。「大げさに演技するパフォーマー」のことで、単に演技が下手というのとは、ちょっと違うかも。
- If he wasn't a revered spiritual leader, he'd be a great ham actor.
(彼が尊敬されるスピリュアルの指導者でなかったら、素晴らしい大根役者になっただろう) - The cynical stud earns his weekly wage as a ham actor in a colonial theme park.
(皮肉屋の男は植民地時代のテーマパークで大根役者として週給を稼いでいる) - They had some dreadful old ham in the main part.
(メインパートにひどく古臭い大根役者を使った) - His critics wrote him off as a ham actor.
(批評家たちは彼を大根役者としてみなした)
とりあえず、ham actor を「大根役者」と訳してみましたが、やっぱりどうも違う気がする…。そのまま「ハムアクター」か「大げさな演技者」としたほうがいいのかもしれません。
由来については、こちらも説がいろいろです。
「ham actor」の由来
- ham actor:
- 昔、金銭的な余裕がなかった役者たちは、メイクを落とすために ham fat(豚肉の脂)を使っていた
- amateur actor(素人役者)のことを、ロンドンなまりで、hamateur と呼んだ
- シェイクスピアの『Hamlet』役の役者がしばしば演技が下手だった
語源はっきりはしないものの、1の説が有力なようです。
低収入の俳優は、メイクを落とすため、安価な ham fat などを使っていました。そこから、hamfatter というあだ名が付けられ、ham が「三流の俳優」を示すようになったというもの。
ただ hamfatter の語は、1863年頃の黒人のミンストレル・ショーの The Hamfat Man の歌に触発された可能性があるそう。
そもそも The Hamfat Man という曲のタイトルは、ミンストレルが顔の黒ずみを落とすために豚の脂を使ったことに由来しています。
hamfatter という言葉は、演劇人だけを示したわけではなく、一般の下層階級の人を指したりもしました。それだけ ham fat(豚肉の脂)は、さまざまな用途で使われていたのでしょう。
ham の意味とは?
日常的に普通に「ハム」って言ってるけれど、「ハム」とはどんなものかというと…「豚のもも肉を塩漬けまたは煙で保存したもの」だとか。そんな定義があったなんて知らなかった…。
他に「仕事ではなく趣味として無線メッセージの送受信をする人」も ham。amateur radio(アマチュア無線家)の非公式な呼称です。
この場合、radio ham や ham radio operator など、radio と一緒に用いられるのが普通。
- Would you like another slice of ham?
(ハムをもう一枚いかがですか?) - "More ham, Mr Fletcher?" "No thank you ― it was delicious, but I've had a sufficiency."
(「もっとハムをどうですか、フレッチャーさん?」「結構です。おいしかったですが、もう十分です」) - A radio ham picked up their signal and called the coastguard.
(アマチュア無線家が彼らの信号を拾い沿岸警備隊に通報した) - I became a ham radio operator at the age of eleven.
(11歳でアマチュア無線家になった)
ham の由来
食品の「ハム」は、以前は「膝の後ろの人間の脚の一部、四足動物の飛節」という意味でした。「もも肉」の意味が今も残ってますね。古英語の hamm「膝のくぼみまたは屈曲部」から来たそう。
「アマチュア無線家」のほうは、1920年頃から広まったとか。20世紀初頭、固定電話の電信技師は、ham(ハム)や plug(プラグ)という言葉を「能力がない技術者」や「下手な技術者」を指して使いました。
もともと侮辱的な言葉だった「ハム」ですが、やがてアマチュア無線家たちは、自分たちの趣味や自分自身を表すためにこの呼称を取り入れるようになったようです。
なお、オーストラリアでは、「HAM」という用語は、Hobby Amateur の略称として使用されることがあるとのこと。
起源としては諸説言われているものの、上記以外のものについては、Wikipediaによって一刀両断されてます。
まとめ
ham という語が、「無能な」「下手な」という、あまりよくない含みだったわけです。ham は高級食材のイメージがあるのに…。
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(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE, English Language & Usage Stack Exchange, Online Etymology Dictionary, Wikipedia)